天色の好きなこと

好きなこと、好きなものなど、興味のあることを書こうかなぁ...と。

幸せのかたち

私が病院で働いていた頃の話です。

 

今でもとても印象に残っている出来事があります。

 

それは、あるご年配の女性の方が足を骨折して入院された時のことです。

 

その方は大腿骨を骨折されていたため、歩くことができず、排便、排尿はベット上でしなければなりませんでした。

 

一つ問題がありました。

 

その患者さんは入院当初から、私たちスタッフに対して少し敵意を持っているような感じだったのです。

 

私が下のお世話をするのに病室に入っても、「早くしろッ!いつまでやってるんだ!早く出て行け!」と強い口調で言われます。

 

毎日、毎日、何日たってもその態度は変わりません。

 

身動きは取れないし、きっとイライラしていたのでしょうね…。

 

強い口調は止まりません。

 

でも私は負けないんですね〜(笑)

 

何を言われても「ハイ、わかりましたよ〜」「ちょっとまってくださいね〜」と努めて明るく応えていました。

 

そんな日々が続いたある日、いつものように下のお世話を終わらせて病室を出ようとした私に…

 

「ありがとう」と小さな声で…。

 

「えッ⁉︎  うそ⁉︎」と思わず……もう一度その言葉を聞きたくて「今、なんて言ったんですか⁇」とそばに駆け寄って聞き返しました。

 

すると、その患者さんはもうすっかりいつもの荒い感じに戻っていて「早く出て行けー!」と(笑)

 

「ハイ、ハイ」と…私は平静を装って病室を出て行きました。

 

そのあとは大変でした。もう嬉しくて嬉しくて…(^ ^)

 

涙が出そうになるのを我慢したのを今でも覚えています(^ ^)

 

その患者さんにもいろんな思いがあったのでしょう…。

 

厳しい口調の裏には、本当はとても温かい気持ちがあったのです。

 

もしかしたら、寂しい気持ちの裏返しだったのかもしれません。

 

 

 

ある70代の男性患者さんのこと。

 

その患者さんは大腿骨を骨折されていたため、手術をされました。

 

術後は毎日リハビリの日々です。

 

いつものようにその男性患者さんをリハビリ室にお連れしようと病室に入ったところ、「 今日は行かない‼︎ 」と、かなりムスッとしています。

 

「体調が悪くないのならリハビリに行きますよ」と私がその患者さんをベットから起こしたところ…

 

「ゴンッ」と…私は顔を正面からグーで殴られました。

 

漫画で、よく殴られたら星☆が出ていますよね…あれ本当です。私にも星☆が出ましたよ(笑)

 

毎日、先生のもとで行うリハビリはとても大切です。

 

コツコツと地道にリハビリを頑張った方と、そうでない方とでは、その後が大きく違ってきます。

 

私は、患者さんがまた元のような生活ができるようになるためなら、殴られたって平気です(^ ^)

 

星が散るほど痛かったのですが、私はそんなことでは負けませんッ(笑)

 

結局、その日は私の勝利で、その患者さんを無事にリハビリ室にお連れすることができました。

 

その後、しばらく時間が経ってから、またその患者さんの病室を訪ねたところ、今度はまったく元気がありません。

 

少し心配になって…「元気がないけど、どうかしましたか?」と訪ねたところ、「さっきは殴ってしまってごめんなさい」と。

 

大好きなバナナも喉を通らないぐらいに落ち込んでいました。

 

 

 

当たり前のように動いていた身体が不自由になることはとてもストレスです。

 

時には、みじかな人に当たりたくなってしまう気持ちもよくわかります。

 

看護助手という仕事は病院の中で患者さんの一番近くにいる存在です。

 

弱音が言いたい時も、不安な時もいつでもそばで寄り添います。

 

私はそんな仕事がとても好きでした。

 

 

  

病院での仕事は、あくまで患者さんが元気になって退院していく日までの「ご縁」です。

 

いつも元気でいてくれること、繰り返し入院されないことがなによりベストなことなのです。

 

なんだか少し寂しい気はしますが…

 

私はこの仕事の中で、再び「会わない幸せ」もある…ということを実感しました。

 

幸せのかたちはいろいろです(^ ^)